2026年11月3日(火) 更新
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人事制度

割増賃金の計算:時間外・休日・深夜と、月60時間を超えたとき

割増賃金の率を、時間外・休日・深夜の別に整理します。人事・労務の担当者向けに、月60時間を超えたときの50%、1時間あたり賃金の出し方、計算の基礎に入れない賃金もあわせて確認します。

時間外・休日・深夜の割増率

割増賃金は、労働基準法第37条にもとづいて支払います。最低の率は次のとおりです。

  • 時間外労働(法定労働時間を超えた分):25%以上
  • 休日労働(法定休日の労働):35%以上
  • 深夜労働(午後10時から午前5時まで):25%以上

法定労働時間は、1日8時間・週40時間です(第32条。一部の小規模な事業場には週44時間の特例があります)。法定休日とは、厚生労働省のFAQ(法定労働時間と割増賃金)によると、週1日または4週を通じて4日の休日をいい、曜日は問いません。

時間外と休日の率(25%・35%)は、法律本文ではなく、割増賃金令(率の最低限度を定める政令)で定められています。深夜の25%は第37条第4項です。

割増は重なることがあります。時間外労働が深夜に及べば50%以上(25%+25%)、休日労働が深夜に及べば60%以上(35%+25%)です(労働基準法施行規則第20条)。ただし、法定休日には法定労働時間がないため、休日労働には時間外の割増は重なりません。同じFAQも、休日労働と時間外労働の割増賃金は重複しないとしています。

月60時間を超えたら50%以上

1か月の時間外労働が60時間を超えた部分は、50%以上の率で計算します(第37条第1項ただし書)。厚生労働省のリーフレットによると、中小企業は2023年3月31日まで25%でしたが、2023年4月1日からは大企業・中小企業とも50%です。

数え方には決まりがあります。

  • 1か月の起算日から時間外労働を累計し、60時間を超えた時点から50%以上にする
  • 法定休日の労働時間は、60時間に含めない
  • 法定休日以外の休日の時間外労働は、60時間に含める

60時間を超えた時間外労働が深夜に及ぶときは、25%+50%で75%以上です。

月60時間を超えた分の割増賃金のうち、引き上げ分(25%から50%への差)の支払いに代えて、有給の休暇を与える代替休暇という仕組みもあります。労使協定が必要で、与えられる期間は、60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内です(第37条第3項、施行規則第19条の2)。

1時間あたりの賃金と、計算の基礎から除く賃金

月給制の場合、1時間あたりの賃金は、月給を「月の所定労働時間数」で割って出します。月によって所定労働時間が違うときは、1年間の1か月平均を使います(施行規則第19条第1項第4号)。厚生労働省のモデル就業規則は、1か月平均所定労働時間数を「(365-年間所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12」で求める算式を示しています。

割増賃金は、この1時間あたりの賃金に、割増率と時間数をかけて求めます(第37条第1項、施行規則第19条第1項)。厚生労働省のFAQの例では、1時間1,000円の人が時間外に1時間働くと、割増を含めて1,250円以上になります。

計算の基礎から除く賃金は、次の7種類だけです(第37条第5項、施行規則第21条)。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

これらに当たるかどうかは、名称ではなく実質で判断する、とモデル就業規則の解説は示しています。

見落としやすい点と罰則

  • 所定労働時間が法定より短い会社では、所定を超えて法定に達するまでの時間は、割増を支払う約束がなければ通常の賃金でよい(モデル就業規則の解説)
  • 管理監督者(第41条第2号の、監督もしくは管理の地位にある者)は、時間外・休日の割増賃金の問題は生じません。ただし、深夜労働の割増賃金は支払う必要があります(同解説)

第37条に違反した使用者は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処されます(第119条第1号)。自社の就業規則に、時間外・休日・深夜、月60時間超の率が書かれているかを確かめておくと安心です。

試験との関係

労働基準法:割増賃金(第37条)の率と、月60時間を超える時間外労働の扱い

厚生労働省 労働基準情報 FAQ「法定労働時間と割増賃金について」 ↗
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