厚生労働省は2026年10月21日、「令和8(2026)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」を公表しました。1人平均賃金の改定額は13,926円(前年13,601円)、改定率は4.4%で前年と同率でした。この調査の対象は常用労働者100人以上の会社組織の民営企業で、100人未満の会社は含まれません。自社の賃上げを検討するときの参考になる数字を整理します。
改定額は13,926円、改定率は4.4%
調査は2026年7月20日から8月10日に行われ、数字には9〜12月の予定も含まれます。賃金の改定を実施した(または予定していて額も決まっている)企業と、改定を実施しない企業についての数字です。
- 1人平均賃金の改定額:13,926円(前年13,601円)
- 1人平均賃金の改定率:4.4%(前年も4.4%)
- 1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業の割合:92.0%(前年91.5%)
調査でいう「賃金の改定」には引き下げも含まれます。このため13,926円は、引き上げた企業だけでなく、引き下げた企業や改定しない企業も含めた平均です。
「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当は含みますが、時間外手当などの割増手当や慶弔手当などは含みません)を、1か月1人あたりで平均した額です。対象は期間を定めず雇用されている労働者で、期間の定めのある人は含みません。平均は常用労働者数による加重平均です。
厚生労働省の説明では、改定額は2011年調査以降は増加傾向ですが、2020年と2021年の調査では減少しました。2022年調査以降は増加しています。改定率は2022年調査以降は増加傾向で、2026年は前年と同率でした。
労働組合の有無で動きが逆に
労働組合がある企業の割合は23.3%(前年22.0%)です。労働組合の有無で分けると、次のとおりでした。
- 労働組合あり:改定額14,757円(前年15,229円)、改定率4.5%(同4.8%)
- 労働組合なし:改定額13,033円(前年11,980円)、改定率4.2%(同4.0%)
「なし」は額も率も上がり、「あり」は下がりました。労働組合ありとなしの改定額の差は、前年の3,249円に対して今年は1,724円です(差は、上の数字から計算した値です)。
定昇・ベアの実施状況
定期昇給(定昇)は、労働協約や就業規則などで決められた制度に従い、毎年一定の時期に賃金を増額することです。ベースアップ(ベア)は、賃金表の改定によって賃金水準そのものを引き上げることです。
定昇制度がある企業の割合は84.2%(前年81.2%)でした。「定昇を行った・行う」企業は81.2%(前年76.8%)で、制度がある企業に限ると96.4%です。労働組合の有無別では、次のとおりです。
- 定昇制度がある企業の割合:組合あり89.4%(同92.3%)、組合なし82.5%(同77.9%)
- 定昇を行った・行う企業の割合:組合あり88.3%(同90.0%)、組合なし78.9%(同72.9%)
ベアについては、定昇制度がある企業のうち、次のとおりでした。残りは、定昇とベアを区別していない企業などです。
- ベアを行った・行う:57.9%(前年57.8%)。労働組合ありは83.9%(同82.1%)、なしは48.8%(同49.4%)
- ベアを行わなかった・行わない:15.4%(前年15.1%)
賃金改定で最も重視した要素、業況、夏の賞与
賃金の改定額が決まっている企業に、決定にあたって最も重視した要素を尋ねました。上位3つは次のとおりです。
- 企業の業績:46.0%(前年41.7%)
- 労働力の確保・定着:12.1%(同17.0%)
- 雇用の維持:9.2%(同11.9%)
2026年8月1日現在の「業況」が「良い」と答えた企業は40.3%(前年35.3%)、「悪い」は8.4%(同13.1%)でした。
2026年の夏の賞与は、次のとおりでした。
- 支給した又は支給する(額決定):88.5%(前年88.4%)
- 支給するが額は未定:5.3%(同4.6%)
- 支給しない:5.3%(同4.9%)
自社と比べるときの注意
100人未満の会社の賃上げは、この数字だけでは分かりません。自社と比べるときは、次の点をそろえると、読み違いを防げます。
- 企業の規模(100人以上かどうか)
- 労働組合の有無
- 平均賃金の範囲(所定内賃金の平均です。時間外手当は含まれず、期間の定めのある労働者も含まれません)
全文は、厚生労働省「令和8(2026)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」の公表ページで読めます。
この調査は、常用労働者100人以上の企業が対象で、100人未満は含みません。数字を見るときは、どの調査の、どの範囲の企業の、何の平均かを押さえておくと整理しやすくなります。

