試用期間は、どのくらいの長さまで認められるのでしょうか。この記事では、試用期間の長さの考え方、よく話題になる「14日」が何の期間なのか、本採用を見送るときの考え方を、採用担当者向けに整理します。
試用期間の長さに労働基準法の定めはない
厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の解説は、試用期間の長さについて労働基準法上の定めはない、としています。そのうえで、労働者の地位を不安定にするため、あまりに長い期間を試用期間とすることは好ましくない、とも書いています。
裁判例では、長すぎる試用期間が問題になっています。厚生労働省「確かめよう労働条件」の裁判例のページは、ブラザー工業事件(1984年3月23日名古屋地裁判決)の要旨として、労働能力や勤務態度など業務への適性を判断するのに必要な合理的な期間を超える試用期間は公序良俗に反し、その限りにおいて無効になる、と紹介しています。
同じページは、次の考え方も示しています。入社当初の契約に期間を設けた趣旨・目的が適性の評価・判断であるときは、特段の事情がない限り、その期間は「解約権が留保された試用期間」と解されます。労働契約は成立しているものの、会社が契約を解約する権利を残している期間、という意味です。裁判例としては、神戸弘稜学園事件(1990年6月5日最高裁第三小法廷判決)が挙げられています。
「14日」は解雇予告が不要になる期間
労働基準法第20条は、使用者が労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことを求めています。天災事変などで事業の継続ができなくなった場合や、労働者の責めに帰すべき事由による場合は例外です。
第21条は、この規定が適用されない労働者の一つとして「試の使用期間中の者」(試用期間中の人)を挙げています。ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、この限りではありません。つまり、次のように整理できます。
- 入社から14日以内:解雇の予告や予告手当の規定が適用されません
- 14日を超えた後:試用期間中でも、原則として30日前の予告か、30日分以上の平均賃金が必要です
ここで注意したいのは、「14日」が決めているのは解雇予告の要否だけだという点です。14日以内なら自由に解雇してよい、という意味ではありません。モデル就業規則の解説も、試用期間中でも14日以内なら予告なしに即時解雇できる、と説明しています。ただし、それは予告が要るかどうかの話です。解雇そのものが有効かどうかは、次に見る労働契約法第16条で判断されます。
本採用の見送りも「解雇」の考え方で
労働契約法第16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。解雇が正当と認められるかどうかは、最終的には裁判所が、さまざまな事情を総合して判断します(厚生労働省の案内)。
試用期間後に本採用を見送る場合も、基本の枠組みは同じです。厚生労働省の裁判例のページは、試用期間である以上、解約権の行使(本採用を見送ること)は通常の場合よりも広い範囲で認められるとしつつ、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合にのみ許される、と整理しています。神戸弘稜学園事件の判決も、試用期間の満了で契約が終わるのは、本採用の拒否(留保された解約権の行使)が許される場合に限る、という考え方をとっています。
モデル就業規則には、解雇事由の例として「試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき」が挙げられています。
採用担当者の確認ポイント
- 就業規則や労働条件の書面で、試用期間の長さを定めているか。長すぎないか
- 就業規則に、試用期間中の解雇や本採用を見送る事由が書かれているか
- 入社後14日を超えている場合、30日前の予告か解雇予告手当が必要になることを押さえているか
- 本採用を見送る理由が、客観的に合理的で、社会通念上相当といえるか
詳しくは厚生労働省「確かめよう労働条件」の裁判例のページで読めます。

