
求人票と労働条件通知書に書くこと:2024年4月から加わった「変更の範囲」「更新上限」など
2024年4月1日から、労働契約を結ぶときと求人を出すときに明示する事項が増えました。何が加わったのかを、労働契約と求人票の場面に分けて整理します。
2024年4月1日からの改正のおさらい
労働契約の締結・更新時の明示(労働基準法施行規則第5条)は、令和5年厚生労働省令第39号により、令和6年(2024年)4月1日から変わりました。厚生労働省の公布通達(基発0330第1号)によると、通算契約期間または更新回数の上限と、就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲が、明示事項に加わっています。
求人・募集の場面(職業安定法施行規則)も、令和5年厚生労働省令第89号により、同じ日から明示事項が追加されました。
労働条件通知書で明示すること
労働基準法施行規則第5条で2024年4月に加わった明示事項は、次のとおりです(厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」)。
すべての労働者(労働契約の締結時と、有期労働契約の更新時)
- 就業場所・業務の「変更の範囲」。雇い入れ直後の就業場所・業務に加えて明示します。「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る範囲のことです
下の項目に出てくる「無期転換」とは、同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えるとき、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換する制度です。
有期労働契約の労働者
- 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容。締結時と更新時ごとに明示します
- 無期転換申込権が発生する更新のときは、無期転換申込機会(無期転換を申し込めること)と、無期転換後の労働条件
厚生労働省の「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」によると、既に雇用されている労働者への再度の明示は必要ありません。新しいルールは、2024年4月1日以降に結ぶ労働契約に適用されます。有期契約の労働者は、更新が新しい契約の締結にあたるため、同日以降の更新のときに新しいルールでの明示が必要です。また、明示する「変更の範囲」は、その契約の期間中のものです。更新した後の期間に命じるかもしれない就業場所・業務までは、明示を求められていません。
厚生労働省のモデル労働条件通知書にも、就業の場所の「変更の範囲」、更新上限の有無、無期転換に関する記載の欄があります。
説明が必要になること(雇止めに関する基準の改正)
次の2点は、第5条ではなく、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(令和5年厚生労働省告示第114号)の改正で、同じく2024年4月1日から適用されています。
- 最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける、または短縮する場合は、その前に理由を労働者へ説明します
- 無期転換後の労働条件を決めるときに、正社員等とのバランスを考慮した事項を有期契約労働者に説明するよう努めます(努力義務)
求人票で明示すること
募集の場面で明示する事項は、職業安定法施行規則第4条の2第3項に定められています。2024年4月1日から、次の3つが追加されました(厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業の場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
更新の基準は、更新する場合がある有期労働契約の募集に限ります。厚生労働省の「令和5年 改正職業安定法施行規則Q&A(労働条件明示等)」には、次の点が載っています。
- 「変更の範囲」に含める今後の見込みは、募集の時点で想定され得る事業の方針変更などを踏まえたもので足ります
- 求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合は「詳細は面談時にお伝えします」などと付せますが、原則、面接などで最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示します
- 業務や就業場所に変更がない業種・職種・雇用形態は、記載する必要がありません
採用担当者のチェックの観点
- 求人票に、業務と就業場所の「変更の範囲」を書いているか(変更がない職種を除く)
- 有期の求人で、更新の基準と、上限があるならその内容を書いているか
- 契約を更新するたびに、更新上限の有無と内容、変更の範囲を明示しているか
- 更新上限を後から設ける・短くするときは、その前に理由を説明しているか
- 無期転換申込権が発生する更新のとき、申込機会と無期転換後の労働条件を明示しているか
この記事の条文は、2026年10月16日に e-Gov 法令検索などで確認した内容にもとづきます。
