初めて担当する人向けに、年末調整の仕事を、申告書の回収・計算・精算・納付・提出の順に並べ、段取りと期限をまとめました。令和8年分(2026年12月に行う年末調整)を例にしています。
年末調整とは、何をする仕事か
国税庁『令和8年分 年末調整のしかた』によると、年末調整は、1年間の給与の総額が確定する年末に、その年に納めるべき税額を計算し、それまでに徴収した税額との過不足を精算する手続きです。
年末調整は、その年の最後に給与を支払うときに行うため、通常は12月です。対象は、原則として、扶養控除等(異動)申告書を提出している全員です。ただし、主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人など、対象にならない人もいます。年の途中で退職した人など、12月ではなく退職のときに行う場合もあります。
申告書を集めて、内容を確認する
最初の仕事は、従業員から申告書を集めることです。使う申告書は、国税庁『令和8年分 年末調整のしかた』によると次のとおりです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の特定親族特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
所得税法が定める提出期限は、申告書によって違います。扶養控除等申告書は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までです(第194条)。配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、基礎控除申告書、保険料控除申告書は、その年最後に給与の支払を受ける日の前日までです(第195条の2〜第196条)。提出された内容を確認し、各種の控除額を確定させます。
年税額を計算して、過不足を精算する
控除額が決まったら、次の順に計算します。
- 給与と、これまでに徴収した税額を集計する
- 給与所得控除後の給与等の金額を計算する
- 課税給与所得金額を計算する
- 年調年税額(年末調整で確定する、その年の税額)を計算する
年調年税額と、毎月徴収した税額の合計を比べます。徴収した合計のほうが多ければ、差額を本人に還付します。少なければ、差額(不足額)を本人から徴収します。不足額は、年末調整をする月分の給与から徴収するのが原則です。
ただし、不足額を徴収すると、その月の手取りが、1月から前月までの手取りの平均月額の70%未満になる場合があります。その場合は、税務署の承認を受けて、不足額を翌年1月と2月に繰り延べて徴収できます。
納付は2027年1月12日(火)まで
精算した内容は、年末調整をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)に記入して納付します。過納額(還付する額)は「年末調整による超過税額」欄、不足額は「年末調整による不足税額」欄に書きます。
国税庁は、年末調整に係る源泉所得税の納期限を、令和9年(2027年)1月12日(火)としています。納期の特例の承認を受けている場合は、令和9年1月20日(水)です。納期の特例は、給与の支払を受ける人が常時10人未満の事務所などで、税務署長の承認を受けた場合に使えます(所得税法第216条)。
納める税額がない場合も、「本税」欄を「0」にした納付書の提出が必要です。
源泉徴収票と給与支払報告書を出す
最後に、源泉徴収票(その年に支払が確定した給与について、受給者ごとに作る書類)と給与支払報告書を作ります。給与支払報告書は、前年中の給与所得の金額などを市区町村に報告する書類で、原則として、受給者の1月1日現在の住所地の市区町村に出します。
条文上の期限は「1月31日」です(所得税法第226条第1項、地方税法第317条の6第1項)。ただし、令和9年1月31日は日曜日です。期限が休日のときは翌日が期限とみなされます(国税通則法第10条第2項、地方税法第20条の5第2項)。国税庁『令和8年分 法定調書の作成と提出の手引』は、期限を「令和9年2月1日(月)まで」としています。
令和9年1月からは、次の点が変わります。
- みなし提出:令和9年1月1日以降、給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署に源泉徴収票を出したものとみなされます。ただし、本人への源泉徴収票の交付は、引き続き必要です
- 電子提出の基準:e-Tax等で出す義務の基準が、前々年に提出すべきだった法定調書の枚数(種類ごとに数えます)「100枚以上」から「30枚以上」に下がります。令和7年中に30枚以上提出した人は、令和9年の提出を電子で行います
いずれも同じ手引(2026年10月24日時点)に書かれています。

