令和8年分の年末調整では、基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族などの所得要件の改正、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例など、昨年(令和7年分)と変わる点があります。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」にもとづいて、人事・労務の担当者が押さえる点を整理します。
いつから・誰が・何をするか
国税庁の資料によると、基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件の改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。改正の法律は、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)で、公布日は2026年3月31日です。
- いつから:令和8年分の年末調整(令和8年12月に行うもの)から
- 誰が:給与を支払う側(源泉徴収を行う事業主)が、年末調整の計算で
- 何をする:改正後の基礎控除額と、令和8年分の「給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で徴収してきた税額と精算する
令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更はありません。源泉徴収税額表の改正は令和9年分以後です。
基礎控除と給与所得控除
基礎控除は、所得税法第86条の額が58万円から62万円に引き上げられました。さらに令和8・9年分は、租税特別措置法の加算があります。令和8年分の額は次のとおりです(合計所得金額ごと)。
- 489万円以下:104万円
- 489万円超655万円以下:67万円
- 655万円超2,350万円以下:62万円
令和7年分の資料には令和8年分の基礎控除が95万円などと載っていますが、令和8年度の改正で変わりました。合計所得金額が2,350万円を超える場合は改正されていません。
給与所得控除は、最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました(令和8・9年分)。給与等の収入金額が220万円以下の場合の控除額が74万円になります(収入が74万円に満たない場合は、その収入金額)。
扶養親族等の所得要件と特定親族特別控除
基礎控除の引き上げにあわせて、扶養親族などの所得要件(合計所得金額)も改正されました。
- 扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子:58万円以下から62万円以下に(収入が給与だけの場合の収入金額は136万円以下)
- 特定親族(生計を一にする19歳以上23歳未満の親族):62万円超123万円以下に(給与だけの場合は136万円超197万円以下)
- 配偶者特別控除の対象となる配偶者:62万円超133万円以下に
- 勤労学生:85万円以下から89万円以下に
特定親族特別控除は、令和7年分で創設された控除です。控除額(63万円から3万円までの段階)と上限(合計所得金額123万円以下)は令和8年分も同じです。合計所得金額で見ると、変わったのは下限だけで、58万円超から62万円超になりました。
この改正で新たに扶養親族などの要件を満たす親族がいる場合は、扶養控除を受けるために「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などの提出が必要です。
23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除
23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例があります。国税庁の法定調書の手引によると、令和7年度税制改正で創設されたもので、令和8年分と令和9年分の所得税に適用されます。新生命保険料に係る一般生命保険料控除の控除額は、年間の保険料に応じて次のとおり計算します。
- 30,000円以下:保険料の全額
- 30,000円超60,000円以下:保険料×1/2+15,000円
- 60,000円超120,000円以下:保険料×1/4+30,000円
- 120,000円超:一律60,000円
この特例の適用がある新生命保険料と、旧生命保険料の両方を支払った場合、一般生命保険料控除の適用限度額は6万円です(改正前は4万円)。一般・介護医療・個人年金の3つの合計限度額は、改正前と同じ12万円です。
人事・労務担当者の確認ポイント
- 昨年の資料の表を、令和8年分に使っていないか
- 12月の年末調整に使う給与所得控除後の給与等の金額の表が、令和8年分のものか
- 扶養控除等(異動)申告書の案内に、改正後の所得要件を反映したか
基礎控除や給与所得控除の表の全文は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」で読めます。

