
出生後休業支援給付のしくみ:厚労省が「手取り10割相当」と説明
2025年4月1日に始まった「出生後休業支援給付金」は、育児休業給付に上乗せして支給される給付です。人事・労務担当者向けに、支給の要件、給付額の計算、厚生労働省がいう「手取り10割相当」の意味を整理します。
いつから・誰が・何をするか
出生後休業支援給付金は、雇用保険法の育児休業等給付の一つです。子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)による改正で加わりました。
厚生労働省のパンフレットによると、出生時育児休業給付金(産後パパ育休を取ったときに支給される給付)または育児休業給付金の支給を受ける人が、一定の要件を満たしたときに支給されます。育児休業を取る本人が雇用保険の被保険者であることが前提で、申請は勤務先を経由してハローワークに行います。
支給の要件
雇用保険法第61条の10は、次の要件をすべて満たす場合に支給するとしています。
- 休業前の加入期間:休業を始める前の2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あること
- 本人の休業:対象期間内に、子を養育するための休業を通算14日以上したこと
- 配偶者の休業:配偶者も、子の出生の日から8週間を経過する日の翌日までに、通算14日以上休業したこと(配偶者の休業が不要な場合もあります。後で説明します)
本人が産後休業をしなかった場合(父親など)、対象期間は、子の出生の日から8週間を経過する日の翌日までです。産後休業をした場合(母親)は、16週間を経過する日の翌日までを基準にした期間です。起算日は、出産予定日と出生日の前後で変わります。
配偶者の休業が要件にならない場合もあります(同条第2項)。配偶者がいない場合、配偶者が雇用される労働者ではない場合、配偶者が産後休業をした場合などです。厚生労働省のQ&Aは、配偶者が専業主婦(夫)で無業者のときは、本人だけが14日以上休業すれば対象になるとしています。
給付額の計算と上限
給付額は、次の式で計算します(雇用保険法第61条の10第6項、厚生労働省パンフレット)。休業開始時賃金日額は、休業を始めた日の前日を離職の日とみなして算定する賃金日額です。
- 出生後休業支援給付金:休業開始時賃金日額 × 休業日数(28日が上限)× 13%
- 育児休業給付金・出生時育児休業給付金:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業給付金は休業開始から180日まで。181日目以降は50%)
これは、休業中に勤務先から賃金が支払われない場合の基本の形です。賃金が支払われると減額され、一定の額以上だと支給されないことがあります(厚生労働省パンフレット)。
出生後休業支援給付金の13%と、育児休業給付の67%を合わせると80%です。厚生労働省のQ&Aに例があります。休業開始時賃金日額が10,000円の人が産後パパ育休を28日取ると、出生時育児休業給付金が187,600円、出生後休業支援給付金が36,400円で、合計224,000円です。
給付額には上限があります。厚生労働省パンフレット(2026年8月1日改訂版)では、令和9年(2027年)7月31日までの額として、休業開始時賃金日額の上限が16,540円、下限が3,203円です。出生後休業支援給付金は、28日の場合で、上限が60,205円、下限が11,658円です。
「手取り10割相当」とは
「手取り10割相当」は、法律の言葉ではありません。条文にあるのは、給付率の「百分の十三」と「百分の六十七」です。
厚生労働省は、休業開始時賃金日額の80%の給付が、手取りでは10割相当になるとしています。次の3点を加味した説明です。
- 育児休業中は、申出により健康保険料・厚生年金保険料が免除される
- 勤務先から給与が支給されない場合は、雇用保険料の負担がない
- 育児休業等給付は非課税である
ただし、厚生労働省は、上限額があることにも留意するよう求めています。
人事・労務担当者が確認すること
- 対象者が、休業開始前2年間にみなし被保険者期間を満たしているか
- 配偶者が休業する予定か、配偶者の休業が要件にならない場合に当たるか
- 申請書を、事業所を管轄するハローワークに出す手順が整っているか
給付の内容と手続きは、厚生労働省「育児休業等給付について」にまとまっています(2026年10月24日時点)。
