
パート・有期雇用、10月1日から変更:待遇差の説明と同一労働同一賃金ガイドライン
2026年(令和8年)10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇う事業主に関わるルールが変わりました。この記事では、変わった3つの点と、会社が点検することをまとめます。
同一労働同一賃金とは、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指す考え方です。なお告示では、正社員を「通常の労働者」、パートタイム・有期雇用労働者を「短時間・有期雇用労働者」と呼びます。
いつから・誰が・何をするか
- いつから:令和8年(2026年)10月1日に施行・適用されています。公布・告示は令和8年4月28日です
- 誰が:パートタイム・有期雇用労働者を雇用する事業主です
パート・有期雇用労働法の関係では、省令1本と告示2本が改正されました。
- 省令:令和8年厚生労働省令第87号。短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(平成5年労働省令第34号)に第2条第1項第4号を追加
- ガイドライン:令和8年厚生労働省告示第203号。短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第430号)の一部改正
- 雇用管理指針:令和8年厚生労働省告示第202号。事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(平成19年厚生労働省告示第326号)の一部改正
ポイント1:雇い入れ時の明示事項が増えた
パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたとき、事業主は労働条件を明示しなければなりません。これまでの明示事項は、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口の4つでした。
今回、新たに「法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨」が加わりました。法第14条第2項は、正社員との待遇の違いの内容や理由などについて、説明を求められるという定めです。
厚生労働省のQ&Aによると、改正省令の施行日以降に新たに雇い入れたときは、この旨を書面の交付等で明示する必要があります。なお、厚生労働省のWebマガジン(2026年8月3日)は、この雇い入れ時の明示について、労働契約の更新時も含むと注記しています。
改正に対応したモデル労働条件通知書も公開されています。解釈通達は、説明を求める際の申出先も明示することが望ましいとしています。
ポイント2:同一労働同一賃金ガイドラインが改正された
このガイドラインは、どのような待遇差が不合理と認められるのかを、具体例とともに示すものです。裁判例などを踏まえ、賞与、退職手当、各種手当、福利厚生の記載が見直され、主な追加として次の3つがあります。
- 家族手当:労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければなりません
- 住宅手当(転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの):通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある短時間・有期雇用労働者には、同一の住宅手当を支給しなければなりません
- 夏季冬季休暇:短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければなりません。問題となる例には、繁忙期に限定された短期間の勤務ではない有期雇用労働者に付与していない場合が挙げられています
ポイント3:雇用管理上の措置が見直された
告示第202号による雇用管理指針の改正では、主に次の点が示されました。
- 待遇差の説明の方法:資料を活用し、口頭により説明する方法、または説明すべき事項を全て書いた分かりやすい資料を交付する等の方法のどちらかで説明します
- 公正な評価に基づく賃金の決定:職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを公正に評価し、昇給に反映するなど、公正な評価に基づいて賃金を決めることが望ましいとされています
- 正社員等への転換制度:転換制度の内容や実績などを明示するよう努め、ウェブサイトなどで定期的に公表することが望ましいとされています
会社が点検すること
厚生労働省のQ&Aは、事業主の主な対応として次の3つを挙げています。雇い入れ時の明示、ガイドラインに即した待遇の点検、そして雇用管理指針に追加された措置の準備です。これに沿って、次の点を確かめましょう。
- 雇い入れ時の労働条件通知書に、説明を求められる旨と申出先の記載があるか
- 家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇が、ガイドラインに追加された記載に即しているか
- 待遇の違いの説明方法と、使う資料の準備ができているか
ガイドラインや指針の全文は、下のリンク先の厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」から読めます。自社の手当や休暇を見直すときは、全文もあわせて確認すると安心です。
