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36協定と時間外労働の上限:月45時間・年360時間と特別条項

残業時間の上限は、労働基準法第36条で定められています。この記事では、人事・労務の担当者向けに、月45時間・年360時間という原則の上限、特別条項(臨時的な特別の事情がある場合の例外)でも超えられない線、適用の猶予が終わった業種、罰則を整理します。

36協定がないと残業はさせられない

労働時間は原則として1日8時間・週40時間以内で、これを「法定労働時間」といいます(厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」2023年2月版)。これを超えて働かせる場合や、法定休日(労働基準法で、原則として毎週少なくとも1回与えることとされている休日)に働かせる場合は、労使協定を書面で結び、労働基準監督署長に届け出る必要があります(労働基準法第36条第1項、同法施行規則第16条)。この第36条にもとづく労使協定を、「36(サブロク)協定」と呼びます。

協定には、対象となる労働者の範囲、対象期間(1年間に限る)、延長できる場合、1日・1か月・1年それぞれの延長できる時間などを定めます(労働基準法第36条第2項)。

原則は月45時間・年360時間

協定で定める延長時間は、「限度時間」を超えない範囲にしなければなりません(同条第3項)。限度時間は、1か月について45時間、1年について360時間です(同条第4項)。1年単位の変形労働時間制で対象期間が3か月を超える場合は、1か月42時間・1年320時間になります。

厚生労働省の特設サイトによると、この上限は2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されています。

特別条項でも超えられない線

通常予見できない業務量の大幅な増加などで、臨時的に限度時間を超えて働かせる必要がある場合は、協定に特別条項を設けることができます(同条第5項)。ただし、次の範囲に収めなければなりません。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
  • 月45時間を超えられるのは年6か月まで

協定に書く上限とは別に、実際に働かせた時間についても、特別条項の有無にかかわらず次の2つを守る必要があります(同条第6項)。月100時間未満は、協定の上限としても、実際の時間としても同じ数字です。

  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 直前の2〜6か月のどの平均をとっても、1か月あたり80時間以内

厚生労働省の解説は、ある月に時間外労働が44時間でも、休日労働が56時間あれば合計が100時間となり、法律違反になる例を挙げています。

特別条項を設ける場合は、限度時間を超えて働く労働者の健康・福祉を確保する措置、割増賃金の率、手続なども協定で定めます(施行規則第17条)。健康・福祉確保措置の実施状況の記録は、協定の有効期間中と、満了後5年間の保存が必要です。

猶予が終わった業種と、適用されない業務

建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業は、上限規制の適用が5年間猶予されていましたが、2024年4月から適用されています(一部特例あり)。厚生労働省のページでは、扱いは次のとおりです。

  • 建設:災害時の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。復旧・復興の事業には、月100時間未満と2〜6か月平均80時間以内の規制が適用されません
  • 自動車運転:特別条項付き36協定の年間上限は、時間外労働で年960時間です(休日労働は含みません)。月100時間未満・複数月平均80時間以内の規制と、月45時間超は年6か月までとする規制は適用されません
  • 医師:特別条項付き36協定の年間上限は、水準により、休日労働を含めて年960時間または年1,860時間です
  • 砂糖製造業:上限規制がすべて適用されます

なお、新たな技術・商品・役務の研究開発業務は、限度時間や特別条項の上限、月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の規定が適用されません(第36条第11項)。

罰則と、担当者の確認ポイント

第36条第6項(月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内など)に違反した使用者は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処されます(労働基準法第119条第1号)。刑罰の種類は、2025年6月1日施行の法改正で「懲役」から「拘禁刑」に変わりました。

自社の36協定について、特別条項の時間が上の上限に収まっているか、有効期間と1年の起算日、健康・福祉確保措置が決まっているかを、条文とあわせて確かめておくと安心です。詳しくは厚生労働省 働き方改革特設サイトで読めます。

厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」 ↗
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